しじみ

島根には、日本海の海の幸を生かした郷土料理や、地元の素材を使ったご当地グルメがたくさんあります。
島根県東部の斐伊川(ひいかわ)最下流に位置する宍道湖(しんじこ)は海水と淡水が混ざり合う全国で7番目に大きな汽水湖で、国内の漁獲高日本一を誇るしじみ (ヤマトシジミ) が獲れるのです。
絶えず変化する水の塩分濃度に適応するために、しじみが内臓を発達させることで、その旨味成分「コハク酸」が増す宍道湖産のしじみは、とにかく大粒で大変質が高く、大粒で肉厚な身が特徴となっています。
全国的にも有名で、宍道湖でとれる代表的な食材「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」の一つに数えられるほど。
しじみ汁」は、特産のシジミを使って醤油や味噌で味付けた汁物で、しじみの旨味、栄養素がしっかり味わえる島根名物です。
島根県民にとっては最も身近な郷土料理です。

栄養たっぷりのしじみ

日本に生息するシジミは3種類(ヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミ)です。
このうち、宍道湖のような汽水湖で生息できるのは、ヤマトシジミのみとなっています。
ヤマトシジミは、3種類のなかで、最も味がよいと知られています。
宍道湖で採れる海産物のうち、約90パーセントがヤマトシジミとなっていて、お魚よりもシジミ漁が圧倒的に盛んだと思われがちなのですが、シジミを守るために、漁師の間では、たくさんのルールが設けられています
例えば、漁をしてよい時間帯は、朝の数時間のみ(季節により変動)、1日に捕獲してよい量は、1人1日約90キログラムまでという明確なもの。
さらに、水深4メートル以上ではシジミが生息できないために、宍道湖の中でも浅めの沿岸部でしか漁はできなくなっています。
その他の魚介類の産卵場所を確保するために、個別に活動場所を制限するような厳しい規定もあるそうです。
もちろん、各権利なども定められています。

しじみは、年間を通して食べることができるのですが、身の大きいしじみを食べるのなら産卵のために身が肥えた7月前後の「土用シジミ」と1月~3月に獲れる「寒シジミ」がおすすめと言われています。
しじみは貝類の中でも栄養素が豊富で、特にオルニチンを含む各種アミノ酸(旨味)や良質のたんぱく質、ビタミンなども多く含んでいます
出雲地方では、お酒を飲んで疲れた肝臓に良いともされています。

昔ながらのしじみの定番料理といえば、しじみ汁が挙げられるでしょう。
農林水産省選定「うちの郷土料理」に、島根県の郷土料理として登録されています。
材料はシンプルで、具材は基本的にしじみのみで、十分に砂抜きをしたしじみを火にかけてあくを取り、すまし汁やみそ仕立てで食べます。
島根県の人にとって「しじみ汁」は、食卓に頻繁に登場する家庭の味なのです。
汁物ではありますが、しじみ由来のたんぱく質が多めに含まれるほか、低脂質低炭水化物でヘルシーです。
また、不足しやすい鉄や亜鉛をはじめとしたミネラルも豊富に含まれていて、栄養を補うのにもってこいでしょう。
しじみ汁を献立に組み込めば、栄養バランスを取りやすくなるのは間違いありません!ただし塩分もそれなりにあるので、組み合わせる料理には注意が必要。

しじみ汁は低カロリー・かつ栄養豊富なため、毎日でも食べたい料理です。
砂抜きさえ覚えれば、作り方も簡単。
質のよいしじみが入手できたら、是非しじみ汁で美味しく食べていただきたいです。