出雲そば

日本三大瀑布・日本三大温泉・日本三大祭りなど・・・全国には有名な史跡や名所、事象などと並び、そばにも日本三大があります。
信州の戸隠そば」、「盛岡のわんこそば」と「出雲そば」です。
「出雲そば」は。出雲地方を代表する食文化です。
出雲の地が蕎麦処となった理由としては、奥出雲地方(出雲国南部=現在の雲南市・奥出雲町など)において、寒さに強く収穫までが短い上に痩せ地でも栽培できる蕎麦の栽培が栄えたこと、もしくは松江藩初代藩主の松平直政が信濃国松本藩から国替えとなった際に、信濃から蕎麦職人を連れてきたことで蕎麦食が定着し、江戸時代後期になってこの地域の産業・文化を振興した名藩主として「不昧公(ふまいこう)」と呼ばれ親しまれている7代松江藩主の松平治郷が、当時「高貴な人はそばを食べない」とされていたにも拘らず、不昧公はお忍びで夜に屋台の蕎麦(いわゆる夜鷹そば)を食べに行くほどの蕎麦好きでこだわりの食べ方を語っていて、茶人としても茶懐石に蕎麦を取り入れその地位向上に一役買ったためと言われています。

そば粉を製粉する際は、一番粉から三番粉の三種類に分類されるのが一般的なのですが、そばの実の中心部分を挽いた一番粉を使ったそばは「更科そば」と呼ばれ、外殻に近い部分から挽いた三番粉を使ったそばは色黒で「藪そば」や「田舎そば」などと呼ばれています。
「出雲そば」は、粉の選別をせず、玄そば(殻のついたそばの実)をそのまま挽き込む全て挽いた「挽きぐるみ」と呼ばれるそば粉を使用します。
そのため色が濃く香りと風味が強いのが特徴です。
つなぎに使われる小麦粉も2割程度と、少ないのも特徴の一つ。
食べ方も独特で「割子そば」「釜揚げそば」が出雲ならではの食べ方です。
だしの効いた醤油ベースのそばつゆをかける「割子そば」、 茹で上げたアツアツのそばを盛り、その中に釜湯の中の「ゆで湯」を注ぐ「釜揚げそば」、どちらも出雲でぜひ、味わって頂きたい代表的なそばです。
出雲地方には数多くのそば店があり、同じ出雲そばでも店それぞれに違いやこだわりがあります。郷土色豊かな出雲そばの食べ歩きや、店ごとのそばつゆの違いを比べるのも、出雲の旅の楽しみ方の一つです。

「割子そば」と「釜揚げそば」

出雲そばは食べ方にも大きな特徴があり、冷たい「割子そば」と温かい「釜揚げそば」があり、どちらも共通して食べる時にそばつゆをかけていただきます。
「割子そば」は、割子と呼ばれる丸い漆器「割子」にそばを盛って、薬味とそばつゆを直接かけ、冷たいつゆをかけて食べます。
江戸時代・松江の城下町で、そばを四角い重箱に入れて携帯していたことに由来しているそうです。
割篭(わりかご)が語源だといわれ、元は使い捨ての弁当箱だったようです。
四角い重箱は洗いにくいため、次第に現在のような丸い重箱になったとか。
さらに慶弔の席でも使えるよう朱塗りにして現在の形になったそうです。
つゆは土瓶のような容器に入れ、重箱のそばに直接かけて食べる。ゆであがったそばを冷水にさらして洗うため、「洗い」とも呼ばれます。

松江発祥の「割子そば」に対し、「釜揚げそば」は出雲大社などの神社周辺が発祥といわれています。
かけそばと違い、茹でたそばを水洗いせず茹で湯ごと丼に盛る温かいそばです。
出雲流は、茹でたそばとそば湯を一緒に器に入れます
そこに、のり、ネギ、かつお節などの薬味がのります。
薬味と割子にかけるそばつゆと同じものを直接かけて好みの味にしていきます。
そばの風味を最大に感じることができ、風味が溶け込み、香りも豊か。
素朴な味わいです。
昔から新そばの時期には神社の参道に稲藁造りのそば屋台が立ち並び釜揚げそばで人々をもてなしたようです。
また、ワサビではなく、もみじおろしや辛味大根の大根おろしを薬味とするのも特徴。

出雲市には、出雲大社周辺で長く愛される老舗そば屋から現代らしい洋風のそば屋までいろいろな人気店があります☆彡
老舗でもお手頃なお値段で食べられるお店が多いので、気軽に食べに行ってみてください♪