有名な祭り

神話伝説で知られる出雲と西に石見、北に隠岐島がある島根県は東西に長いため、出雲と石見では文化圏に違いがあり、また、南に中国山脈が走っているので広島県や山口県など山陽側との文化交流も峠を通してに限られていました。
日本海の島である隠岐は伝えられた昔の風俗文化が島内に今も保存されているようです。
島根では、それぞれのロケーションを活かした花火大会、伝統ある夏祭りが盛大に開催されます。

有名なホーランエンヤは、島根県松江市で行われる城山稲荷神社の式年神幸祭の通称です。
大阪府の天神祭り・広島県の厳島神社の管弦祭と共に日本三大船神事のひとつとされ、10年に一度行われます。
祭りの期間は9日間。
城山稲荷神社から御神輿を船団でお運びする「渡御祭(とぎょさい)」と阿太加夜神社本殿にお迎えし、七日間の大祈祷が行われるその中日に櫂伝馬踊りが奉納される「中日祭(ちゅうにちさい)」、再び船団によって城山稲荷神社へと御神霊をお送りする「還御祭(かんぎょさい)」の3つの祭礼が期間中行われます。
神幸祭の見所は、何と言っても「渡御祭」と「中日祭」と「還御祭」。
五大地と呼ばれる地域の人々が色とりどりに装飾した櫂伝馬船に乗り組み、松江市指定無形民俗文化財「櫂伝馬踊り」を勇壮に披露します。
中日祭では陸船の上で披露されます。
舳先で威風堂々見得を切る歌舞伎風衣装の剣櫂、艫で艶めかしく身をくねらす女姿の采振りと、色とりどりに装飾された各地区の櫂伝馬船の総数は100隻以上にも上り、大船行列を作る壮大な姿が楽しめます。

佐蛇神能

佐太神社は出雲國三大社の一つとして「佐陀大社」と称えられた御社です。
荘厳な出雲造りの御本殿三社(指定重要文化財)に主祭神の佐太大神をはじめ十二柱の神々をお祀りしています。 主祭神 佐太大神は出雲国で、最も尊いとされる四大神の内の一柱で猿田彦大神と御同神です。
佐太大神は「導きの神」として知られています。
また、八百万の神々がお集まりになる神在祭は出雲の国数社で執り行われているものの中でも、文献上最も古く、かつ祭りの形態も古い形を受け伝えており、「神在の社」といわれ、全国各地から広く信仰を集めています。
神在月(旧暦10月)には八百万の神々が、母神(イザナミノミコト)を偲んで集まるとも伝える由緒正しい佐太神社。その摂社である田中神社は、大変珍しい縁切り・縁結びの両参りが出来ることで知られています。

佐陀神能は、約400年も続いていると言われている“神事芸能”です。
毎年9月24日、25日に行われる御座替祭(ござがえさい)という神事で奉納されており、神への祭礼の「七座」、祝言の「式三番」、神話劇の「神能」の3部からなっています。
七座神事の舞は七種あり、剣、御蓙、榊などを採り物として舞われます(「剣舞」「散供」「御蓙」「清目」「勧請」「八乙女」「手草」)。 特に「神能」は佐太神社の神官が、京より能を習い覚えて帰りその方式を取り入れ、従来の神楽を格調高いものに創り上げたと伝えられています。
神能の演目は当社の縁起を語る「大社(おおやしろ)」をはじめ十二段からなります。
笛や鼓の軽妙な音色に合わせて、あざやかな衣装を着て、舞手がゆったりと、時に大きく、切れの良い動きを見せ、観客は荘厳な神話の世界を堪能できます。

佐陀神能は年を経るに従って知名度も高まり、昭和51年(1976)5月には国の重要無形民俗文化財の指定をうけました。
また、平成23年11月にユネスコの無形文化遺産として登録されました。